第10回:灯咲編その4~かわいそうな紅彩くん~
前回のあらすじ:ライネ・灯咲、立つ
四大国時代、突入
「神暦323年、世界は四大国時代に突入した!」
「最大勢力は北方の覇者、アヴァリス。続いて南部、ミル・フラートのネミスと……」
「西部を押さえているのが、この覇帝ソウリュウ率いる龍戒国だ! なお、アヴァリス・ネミス連合軍と戦争中だぞ!」
「そして……私の灯咲は、その三国すべてと同盟中だった。けれどミル・フラートとの同盟を解き――」
「――神暦327年、ついに敵領土の分断に成功」
「一方俺様は順調にアヴァリスにボコボコにされているな。国力で劣っているうえに相手が砂神では無理もないが」
「むしろ意外としぶといくらいよね」
「フッ。『覇帝』の名は伊達ではないということだ!」
礼儒の戦い
「全軍を率いて、ミル・フラートに決戦を挑むわ」
「ここで勝てば王手だな。次のターンで勝負がつく。だが、こういう時に意外と手こずったりするものだ……油断は禁物だぞ、ライネ」
「当然」
「勝って当然の戦力差だが、籠城戦に持ち込まれると少し厳しい。野戦でできるだけ数を減らしておきたいところだな!」
「欲を言えば殲滅しておきたかったけど……」
「戦略目標は達成したと言っていいだろう。これでミル・フラートには逃げ場が無くなった。翌年でケリが付く」
ネミス、滅亡
「ケリがついたわ。……ちょっと危なかったけど」
「最後の籠城で意外と粘られたな。シャリの城の城壁がもう少し厚かったら、攻めきれないところだった」
「ともあれこれで私の勝利は……あら?」
「紅彩神王か。どうやらミル・フラートに敗れた後、奴の配下になっていたようだな」
「仕官してきたのか……うーん……」
「なんだライネ、何か思うところでもあるのか?」
「別にそんなことはないんだけど。ただ、ほら、今うちの国には優秀な子孫武将がたくさんいるでしょ?」
「わざわざ配下に加えることもない、ということか」
「そういうこと。だから、今回はご縁が無かったということで……」
「は? 紅彩神王、地下幽室に封印……?」
「え? ……ええっ!?」
「ライネお前……やっぱり紅彩神王のこと……」
「えっ、いや、ちがっ……私そんなつもりじゃ……ち、違うのよソウリュウ! 私はただ、臣下に加えるかって聞かれたから、ノーって答えただけで! 違うんだってば!」
「あー、うん、わかってるわかってる。わかってるぞライネ、わかってるとも」
「それ絶対わかってないじゃない!」
「なにはともあれ、これでミル・フラートは全ての領地を失い、ネミスは滅亡したわけだ。四大国時代も短かったな」
「うぅ……ごめん、ごめんね、紅彩神王……できるだけ差し入れに良いモノ持ってくから許して……」
「このゲーム、封印した神王を開放するコマンドは無いからなぁ……」
灯咲編その5に続く!