第11回:灯咲編その5~最強陣営崩壊す~
前回のあらすじ:四大国戦争、最初の脱落者はミル・フラート
神暦330年代
「神暦329年。ミル・フラートの軍勢を破ったライネ・灯咲は、勢いに乗じて砂神アヴァリスとの同盟を破棄。ギルス、龍戒への侵攻を以って、戦端を開く」
「奇襲を受けたアヴァリスは国境沿いに軍を配置。しかし覇帝ソウリュウとの戦いの最中であり、戦線は薄く広がらざるを得なかった……」
「というわけで、神暦330年。いよいよここからラスボス戦、砂神アヴァリスとの戦いだ!」
「地図の上ではほぼ互角の勢力分布に見えるけど……実際はけっこう差があるのよね」
「ライネ・ソウリュウ同盟はあわせて19国を領有。一方アヴァリスは18国を領有し、さらに従属国がふたつ。この点、わずかにアヴァリス側が優位であるものの、ほぼ互角と言っていいだろう」
「一方総兵力は私達が合わせても20000に届かないのに対して、アヴァリスは一国で33000を超えている……ちょっとまだ勝てる気がしないわね」
「陣形、装備の研究は灯咲の圧勝だが……これだけの兵力差と『砂神』の才能を覆せるだけの力は無い」
「でも兵の配置ならこっちに分があるわよ。もう一度地図を見て」
「確かにな。アヴァリス側の武将(茶色の領土の上にある赤い旗)は各地に分散配備されている……こちらの兵力を一点に集中すれば、局所的な数的優位を得ることが可能というわけだ!」
「それに、情報力で勝っているのは明確な優位点よね。相手の攻撃先に効率よく兵を配置してうまくいなしながら、なんとかアヴァリスの領土を削っていくことができれば、形勢は逆転する」
「……方針は決まったようだな」
「ええ。ソウリュウ、悪いけどあんたを囮に使わせてもらうわ」
さらばソウリュウ
「さて、神暦333年。灯咲国は大陸東部の駐留武将がいない、もしくはごく少数のアヴァリス領を狙って侵攻。複数国の奪取に成功した!」
「けれどそれは、アヴァリスの主力が存在する西部をほったらかしにしていた、ということでもあったわ。その結果ソウリュウは……」
「なんとか三年は逃げ回ったぞ……」
「もうちょっと粘ってほしかったんだけど」
「無茶言うな相手は兵力五桁の砂神だぞ! それに、これだけ時間が稼げれば十分だっただろう?」
「ええ、おかげで形勢は逆転したわ」
アヴァリス陣営、崩壊
「防御の手薄な領地を奪って回り、アヴァリスの国力を削った結果……神暦335年、アヴァリスの支配下にあったヴェイ・ルースとデフィスが相次いで離反! アヴァリス陣営は崩壊した!」
「この二国と同盟できれば……」
「ああ、対アヴァリス戦線の完成だ!」
「同盟が上手くいけば、アヴァリスに対して三か国連合軍で戦うことができるわね!」
「ああ。そうなれば砂神が相手でも互角以上の勝負ができるだろう!」
「見えてきたわ……勝利への道が……!」
灯咲編その6に続く!