第13回:灯咲編その7~弱小国から世界帝国へ~
前回のあらすじ:砂神戦、はじまる
幸運の泉の精
「敵よりも良い装備を整え、敵よりも優位な陣形を保ち、敵よりも優秀な武将を揃え、敵の三倍の兵力を用意する」
「? ソウリュウ、何それ?」
「野戦必勝の極意、ってところだな」
「必勝って言うけど、相手が砂神の場合は?」
「最低条件、ってところだな。あとは運が良ければ――」
「――源霊ィィッ!!」
「うわっ、びっくりした!」
「見ろライネ! 源霊の神王、ヴァレムサークが持つレア才能『源霊』を持つ在野武将が仕官してきたぞ! これは運が向いてきている証拠だ!」
「それじゃあ風向きが変わる前に、ケリをつけるとしましょうか!」
分断戦略大成功!
「その後灯咲軍は、華限の戦い、伽羅の戦いでも砂神の軍勢を破り――」
「――神暦341年、ついに大陸の覇権を確固たるものとした!」
「振り返ってみると、最後まで決戦らしい決戦が無かったわね。アヴァリスも総兵力が五ケタを下回ることは無かったはずなんだけど……」
「戦略がうまく当たった証拠だ。数で勝る敵戦力に正面からぶつかるのではなく、分散させて少しずつ切り崩すことに成功したわけだな」
「あとは残敵掃討ね。クソ野郎二人に思い知らせてやる……!」
「前回のことまだ根に持ってるのかよ……」
ヴェイ・ルース、撃破
「ヴェイ・ルースもデフィスも、どちらも領土は2国だけ。35国を領有する私の敵じゃないわ!」
「単純な数だけでなく武将の質も、双子を活用した子孫繁栄を繰り返しただけあって圧倒しているな」
「ふふん、私の灯咲だもの。当然!」
「あっさり撃破だ!」
「予定通り! それで肝心のクソ野郎は……!」
「逃げられたな」
「ぐぬぬぬ……! こうなったらせめてデフィスの方だけでも、なんとしてでも!」
「なんとしてでも、身柄を抑えたいか?」
「当然!」
「なら……こういう手がある」
降伏勧告
「……降伏勧告?」
「そうだ。相手をこちらの従属国にする。永遠に顎でこき使ってやるわけだ!」
「へぇ……悪くないじゃない。それ、どうすればいいの?」
「相手との戦力差が重要だな。パワーを見せつけて従属を要求するわけだ」
「じゃあとりあえず経済力にモノを言わせて……と」
「領土2国、総兵力4040人の国相手に用意する軍じゃねぇな……」
「ま、でもこれだけあれば十分でしょ?」
「十分すぎるくらいだな」
「それじゃあ早速――」
「――は?」
(ガッツあるなぁ、デフィスの奴……)
灯咲編その8に続く!