第17回:紅彩編その3~がんばれなくなってきた~
前回のあらすじ:氷虎様が倒せない
最強の月人、来る
「神暦313年、ついに紅彩・アラナダ戦争は八年目に突入しました……」
「まさかこんなに長引くだなんて……デフィスのやつ、前回*1に続き今回までも……!」
「? 何のことですかライネさん」
「ああいやこっちの話……と、とにかく! 今年こそデフィスを倒す! 気合入れていくわよ紅彩!」
「ここまでくるともう意地ですね。ちなみに、ですが――」
「――この前年、第三世代型月人、アクエリアスが仕官してきました」
「出たわね初期配備最強……才能がめっちゃくちゃ強力なのよね」
第五次モンバルギ侵攻
「いきます! 今度こそ!」
「氷虎は別動隊に多くの兵力を割いてる! 手薄な本陣を一気に叩き潰す!」
「早速先陣戦で負けてますけど……」
「この敵の龍衣ってやつが超強いのよね……今回これだけデフィス相手に苦戦した理由の一つがこいつよ。強力な在野武将が敵に回ると本当に厄介ね」
「勝てるのでしょうか……」
「野戦だけならなんとかなるわ。だけど問題は……」
「攻城戦、ですか」
「勝った! 敵も味方もいいタイミングで別動隊が現れたおかげで、士気に余裕を残しつつ敵兵を殲滅することができたわ!」
「あとは問題の攻城戦……でも、この兵力と士気なら……」
「やったわ紅彩! 勝利よ!」
「やりましたねライネさん!」
「ついにモンバルギの城を落城させたわ!」
氷虎堕つ
「ベルナでの戦いも合わせて八年間……長い戦争でしたね」
「始めた当初はまさかこんなに長引くとは思わなかったわ」
「氷虎デフィス……実に手ごわい相手でしたが……なんとか捕らえることができたようですね」
「デフィス、あんたには随分と手を焼かされたけど、それも今日まで。明日からは地下の幽室で……」
「地下……幽室……封印……うぅ、あ、頭が……」
「ちょ、ちょっと紅彩? 大丈夫?」
「う、うぅ……嫌だ……もう封印は……闇の中に私しかいないのは……! 封印は……封印は嫌だ……!」
「……仕方ないか。デフィス、今後は紅彩の武将として、この大戦の最後まで働いてもらうからね」
「大陸の北部が……すべて私の領土に……」
「おめでとう紅彩。これで最大勢力よ」
ぐだぐだ戦略
「明けて翌年。これが神暦314年の情勢ですね。我が国を筆頭に、複数の勢力が台頭する群雄割拠のようです」
「紅彩国は、紺華から琉球までを領有する鬼神シャラ率いる紺華国と、伽羅から京核までを領有する天帝アイヒミ率いる京核国、ふたつの勢力と領地を接しているわね。まずは小規模なアイヒミのところから切り崩していきましょうか」
「華限を占領しました。順調にいけば、翌年にはアイヒミさんを降すことができますね! その次はシャラさんとの戦争ですか」
「と、思っていたんだけど……」
「えーと、五年が経過し、神暦319年。我が国は琉球一国を占領しただけで、ほとんど領土の変化がありませんでした。
……ライネさん、これはいったい」
「一言で言うと、ガバったわ。援軍要請忘れ、同盟破棄忘れでグダグダしていたところに、ソウリュウとギムがやってきてシャラの領土をほとんど持っていったわ……」
紅彩編その4に続く!