第20回:紅彩編その6~VSライネ~
前回のあらすじ:赤眼、ゲットだぜ!
紅彩VSライネ
「というわけでいよいよ最終局面。残るは四か国となりました。最大勢力は私、紅彩神王ですが……第二勢力がライネさんなんですね」
「ええ。私の灯咲国は、いまのところ9国を領有しているわ。それで、紅彩とは対立している形ね」
「他には、2国を領有するロジュウさんが同盟国で、1国のみを領有するアイヒミさんが従属国になっていますね」
「ロジュウは金沙と崖港を領有、アイヒミは伽羅を領有しているわ」
「我が軍の主力は現在、シャリ滞在中にですね。……このまま孤立している灯咲軍の一隊を殲滅しましょうか?」
「いいえ。そっちは同盟国であるロジュウに任せましょ。むしろこの場合、相手の本隊のことだけを考えるのが正解ね」
「その敵本隊は、琉球への侵攻を画策しているみたいです。……あの、ライネさん。これって、見逃した方が良いやつですね?」
「ええ。あえて敵主力を琉球に誘い込んで包囲することができれば、2年で決着を付けられるわ」
包囲戦略
「神暦330年。我々が明け渡した琉球に、敵の武将が集中していますね」
「そして、琉球の周囲の守りは手薄。今年中に京核と八卦を取れば、翌年には易爻を抑えることで包囲を完成できる」
「というわけで、さっそく八卦に全力攻撃です」
「この兵力差だと、敵も奇襲をかけてくるだろうけど……」
「敵武将の数も、戦術値も我が紅彩軍とは比べるまでもありません。おそるるにたらず、ですね」
「八卦戦では問題なく勝利、無人の京核も難なく占領。翌年にはこうなったわ」
「この後の展開ですが……易爻と琉球、どちらも今年落とせてしまいそうですね」
「そうね。間違えて琉球から先に攻めないように気をつけて」
「武将リストの上から順番に侵攻していく、という仕様をちゃんと理解しておくことが大切ですね。琉球から先に攻めてしまった場合、せっかく追い詰めた敵を逃がしてしまうことになりますから……」
「まずは主力で易爻に侵攻。戦闘はもうあっさりすぎるくらいあっさり圧勝したからカットで」
「私こと紅彩神王の親征により、最初に易爻を占領しました。神王は必ず武将リストの先頭に来るので、行軍順も神王が最初になるんですね」
「そして別動隊で琉球を占領、と。結果――」
「――私、滅亡」
「おつかれさまでした、ライネさん」
AI操作の悲しいところ
「ちなみにだけど、私の灯咲国は立地の関係上、今回みたいに終盤まで残ることが多いわ。でも武将の能力が控えめだから、終盤まで生き残ったプレイヤー国家には一方的にボコボコにされやすいのよね……」
「プレイヤー操作だと、双子持ちが初期からいるのを活かしてむしろ終盤に強くなるんですけどね」
「AI操作だとどうしてもね……見てよこの神暦330年の灯咲の武将リスト。双子と雷昇ばっかりよ」
「これは……勝てませんね」
「悲しいけど、双子の才能は戦場じゃ何の役にも立たないのよね……」
紅彩編その7に続く!
第19回:紅彩編その5~舞い降りる幸運~
前回のあらすじ:なんか消化不良……
いつの間にか終盤戦
「神暦325年。なんだかぐだぐだしているうちに、いつの間にか我が紅彩国は統治国数21を超え、世界の半分を支配下に置きました」
「対抗勢力は南西のギルス神王と、南東の私、ライネ・灯咲ね。あとは同盟国として、ギム・ザイファとロジュウが南部中央に残っているわ」
「とりあえず、ギルスさんの方から攻めていきましょうか。ちょうど主力が攻撃できる位置にいますし」
紅彩・ギルス戦争
「というわけで迦沼に侵攻したわ」
「8000対15000。どちらもなかなかの数ですから、これは長い戦いに……」
「ならなかったわね」
「3ターン目、ギルス軍は士気が尽きる前にあっさり引き上げていきました……」
「この後ちょっかいをかけてきた私を撃退しつつ……」
「さらにギルス軍に対する攻撃を続行。司啓、ギルス、龍戒を占領し、神暦328年にギルス軍をシャリに追い詰めました」
「あっ、ギムが負けてる……」
「ギム・ザイファ神王のトランベルは、昨年に灯咲との戦争に敗れ、滅亡していたようです」
「そしてこの年、ギルスも滅亡。あとは紅彩国に対抗できそうな国は、灯咲国だけになったわ」
「まさかの私VSライネさんですか」
「ま、国力差は圧倒的だから、もう結果は見えてるけどね……」
待望の……!!
「きゃああああっ!!」
「ど、どうしたの紅彩!? なにかあった!?」
「み、みみみ見てくださいライネさん!」
「こ、これは……希少度Aランク、司啓の神王、赤法神リシュが持つ才能、『赤眼』!」
「今年元服した我が国の子孫の中にいたんですよ! この子は天才です!」
「まさかレア才能がこんなところで手に入るなんてね……」
「素晴らしい、本当に素晴らしいですよ呂角くん! ……でもその名前は我が紅彩国の武将としては相応しくないので、この私、紅彩神王が直々に素敵な名前をプレゼント!」
「……」
「現在発見されている中でも、最も大きな恒星の名前を付けてあげましょう! 今日からあなたは『はくちょう座V1489』くんです!」
「名前見切れてるんだけど……」
「さあ行きますよ、はくちょう座V1489くん! 我が紅彩国の覇業は、もうすぐ完遂されるのですから!」
「えー、というわけで、次回、対灯咲戦よ」
紅彩編その6に続く!
第18回:紅彩編その4~覇帝への挑戦~
前回のあらすじ: ぐ だ ぐ だ
いざ、降伏勧告
「というわけで、神暦319年。世界は紅彩、龍戒の二大国が台頭していました」
「おまけに南東に中小国がいくつか、ってところね」
「私たちの戦略としては、小国を吸収しつつ龍戒の力を削ぐ、といったところでしょうか?」
「そうね、まず手始めに……」
「アイヒミさんへの降伏勧告、成功です!」
「ここで悪い知らせよ。龍戒国から同盟破棄の使者が来たわ」
「となると……まずはソウリュウさんと戦わないといけないわけですか」
対覇帝戦略
「さて、前回までのぐだぐだ展開はもう終わりにしましょう。ここからはじっくりと腰を据えて戦っていくわよ」
「これからの基本戦略としては、ハイネルにいる敵主力軍の攻撃を、伽羅の京核軍と協力しながら耐えて、相手に出血を強いつつ……」
「砂蛇などの防備の薄い領土を奪い、敵軍の経済力を奪っていく、という流れになるわね」
「ちなみにこちらがその結果です」
「我が軍は砂蛇、迦沼を奪取。敵には琉球を取られたけれど、これは逆に相手の戦力を分散させる結果になったわ!」
「なお世界では、ソウリュウさんに従属していたギルスさんが離反、ギム・ザイファさんに従属していたライネさんが離反、と……なかなか混沌としてきていますね」
「この流れに紅彩も乗りましょう。今こそハイネルに侵攻よ!」
ハイネル侵攻戦
「あわわわ、どうしましょうライネさん、大会戦ですよ」
「落ち着いて紅彩。ここまで来たらもうなるようにしかならないわ。腹を決めて、合戦開始よ!」
「あれ……? 意外とあっさり勝てましたね」
「参戦武将数の差が大きかったわね。龍戒軍は武将が13人しかいなかったのに対して、こちらは従属国からの援軍も合わせて34人。倍以上の人材が揃っていたおかげで、戦局は終始紅彩有利に推移していたわ」
「あとは攻城戦ですね」
「籠城されると厄介なところだけど……」
「残った敵が隣国に撤退してくれたおかげで、攻城戦もスムーズに進みました」
快進撃、しかし……
「そして同年、西方の領土も三つ奪取!」
「紅彩国と龍戒国の戦争は、ほぼ大勢が決しました!」
「翌年には皇陰と真陽も占領! 迦沼は明け渡す形になっちゃったけれど、これでほぼ追い詰めることができたわ!」
「さらに皇陽と堯舜も占領し、龍戒軍を迦沼に追い詰めることができました!」
「あとはとどめを刺すだけね! 来年が楽しみだわ!」
「……あれ? ちょっと待ってくださいライネさん! 今、ギルス軍が……!」
「あっ」
「あっ」
「おいしいところを持っていかれたわね……」
「そ、そんなぁ……」
紅彩編その5に続く!
第17回:紅彩編その3~がんばれなくなってきた~
前回のあらすじ:氷虎様が倒せない
最強の月人、来る
「神暦313年、ついに紅彩・アラナダ戦争は八年目に突入しました……」
「まさかこんなに長引くだなんて……デフィスのやつ、前回*1に続き今回までも……!」
「? 何のことですかライネさん」
「ああいやこっちの話……と、とにかく! 今年こそデフィスを倒す! 気合入れていくわよ紅彩!」
「ここまでくるともう意地ですね。ちなみに、ですが――」
「――この前年、第三世代型月人、アクエリアスが仕官してきました」
「出たわね初期配備最強……才能がめっちゃくちゃ強力なのよね」
第五次モンバルギ侵攻
「いきます! 今度こそ!」
「氷虎は別動隊に多くの兵力を割いてる! 手薄な本陣を一気に叩き潰す!」
「早速先陣戦で負けてますけど……」
「この敵の龍衣ってやつが超強いのよね……今回これだけデフィス相手に苦戦した理由の一つがこいつよ。強力な在野武将が敵に回ると本当に厄介ね」
「勝てるのでしょうか……」
「野戦だけならなんとかなるわ。だけど問題は……」
「攻城戦、ですか」
「勝った! 敵も味方もいいタイミングで別動隊が現れたおかげで、士気に余裕を残しつつ敵兵を殲滅することができたわ!」
「あとは問題の攻城戦……でも、この兵力と士気なら……」
「やったわ紅彩! 勝利よ!」
「やりましたねライネさん!」
「ついにモンバルギの城を落城させたわ!」
氷虎堕つ
「ベルナでの戦いも合わせて八年間……長い戦争でしたね」
「始めた当初はまさかこんなに長引くとは思わなかったわ」
「氷虎デフィス……実に手ごわい相手でしたが……なんとか捕らえることができたようですね」
「デフィス、あんたには随分と手を焼かされたけど、それも今日まで。明日からは地下の幽室で……」
「地下……幽室……封印……うぅ、あ、頭が……」
「ちょ、ちょっと紅彩? 大丈夫?」
「う、うぅ……嫌だ……もう封印は……闇の中に私しかいないのは……! 封印は……封印は嫌だ……!」
「……仕方ないか。デフィス、今後は紅彩の武将として、この大戦の最後まで働いてもらうからね」
「大陸の北部が……すべて私の領土に……」
「おめでとう紅彩。これで最大勢力よ」
ぐだぐだ戦略
「明けて翌年。これが神暦314年の情勢ですね。我が国を筆頭に、複数の勢力が台頭する群雄割拠のようです」
「紅彩国は、紺華から琉球までを領有する鬼神シャラ率いる紺華国と、伽羅から京核までを領有する天帝アイヒミ率いる京核国、ふたつの勢力と領地を接しているわね。まずは小規模なアイヒミのところから切り崩していきましょうか」
「華限を占領しました。順調にいけば、翌年にはアイヒミさんを降すことができますね! その次はシャラさんとの戦争ですか」
「と、思っていたんだけど……」
「えーと、五年が経過し、神暦319年。我が国は琉球一国を占領しただけで、ほとんど領土の変化がありませんでした。
……ライネさん、これはいったい」
「一言で言うと、ガバったわ。援軍要請忘れ、同盟破棄忘れでグダグダしていたところに、ソウリュウとギムがやってきてシャラの領土をほとんど持っていったわ……」
紅彩編その4に続く!
第16回:紅彩編その2~デフィスくんがんばる~
前回のあらすじ:うわ氷虎様つよい
第二次ベルナ侵攻
「神暦306年、我が紅彩国はデフィス領ベルナへの侵攻戦に敗北しました……」
「士気がゼロになったのは、どっちも同時だったから! 痛み分け! 痛み分けよ!」
「どっちでもいいですけど……それで、次はどうするんですかライネさん」
「国力はこっちが上! もっと多くの兵を集めて、再侵攻するわ!」
「総兵力5500……うう、出兵費が痛い……」
「大丈夫よ紅彩! 勝ってしまえば戦利品が見込めるんだから!」
「それじゃあいきますか……みんな、無理はしないでくださいね」
「あっ」
「シリウスーッ!?」
「そんな……『昇雷』に『剣聖』が負けた……?」
「ら、ライネさん!? 今うちのシリウスくんの首が飛びませんでしたか!?」
「嘘でしょ……個人戦闘力は100以上こっちが勝ってたのに……って、まずい、シリウスがやられたせいで陣形が!」
「あわわわ、そ、総崩れになるー!?」
「と、とりあえず撤退!」
第三次ベルナ侵攻
「うぅ……ごめんねシリウスくん……私の指揮がもっと良ければ……戦術値52の総大将でごめんね……」
「戦術値52でも今の紅彩国だとトップクラスなのが悲しいところね……」
「でも、次の年にとっても強そうな人が来てくれました!」
「よし! 聖騎士パワーで今度こそベルナ攻略よ!」
「あの、ライネさん。野戦で奇襲が使える条件って……」
「え? たしか総兵力が相手の四分の一以下の時……」
「……」
「……」
「……1270対6500は」
「だいたい、1対5ね」
「うわー!? 奇襲されるー!? みんな逃げて―!」
「戦術値52の総大将じゃ戦術値68の奇襲を防げな――」
「――防げたわね」
「や、やった! やっと運が向いてきた! みんな、この機を逃さないで!」
「流れは来てる! このまま城も攻め落とせば……!」
「あの、ライネさん、苦労して勝ったわりに、その、戦利金が……」
「ごめん紅彩……私にはどうすることもできない……」
モンバルギ侵攻
「まあ何はともあれ、これで氷虎デフィスをモンバルギに閉じ込めることができましたね」
「あとはモンバルギを落とせば、私達の勝利!」
「敵の倍以上の兵力を用意できました! これなら勝てるはず……!」
「野戦では勝ったけど、兵数の損害はあんまり大差ないわね……なんだか嫌な予感が……」
「あっ」
「二千以上の兵に篭られると、さすがに固いわね……攻めきれなかったか」
「なんだか妙に粘りますね、デフィスさん」
「仕方ない……来年もう一度攻めましょう。それできっとケリがつくわ」
第二次モンバルギ侵攻
「ケリ、つきませんでしたね」
「も、もう一度よ!」
第三次モンバルギ侵攻
「ダメでしたね。……前回前々回よりもさらにダメに見えるんですけど」
「んぐっ……! ま、まだまだ! 次こそは!」
第四次モンバルギ侵攻
「またダメでしたねライネさん。……ライネさん?」
「 」
「死んでる……」
紅彩編その3に続く!
第15回:紅彩編その1~モブ神王がんばる~
キャラクター紹介
紅彩くん
ライネくん
灯咲から紅彩へ
「おや? ライネさん、どうしてここに?」
「『前回』のお詫びにね。まあ、別の周回の話だから、あなたは覚えていないだろうけど……」
「……?」
「あんまり気にしないで。それよりも紅彩、はじまるわ」
「えっ……。はじまる、って、何がです?」
「神暦大戦よ」
目指せ封印回避
「うぅ……戦争ですか。あまり気は進みませんが……」
「でも紅彩国も私の灯咲国と大して変わらない弱小国だから、戦わなかったらあっという間に滅亡しちゃうわよ」
「滅亡……封印……地下幽室……うっ、頭が……」
「残念だけど、地下幽室行きを避けたいなら戦わなくちゃ」
「……仕方ありませんね」
「まず初期配備の月人を選択しましょう。第二世代型と第三世代型がいるけど……」
「第三世代型にしましょう! 十二星座モチーフですし!」
「そういえば星が好きなんだっけ、紅彩」
「はい。今*1はおとめ座の期間なので、パルテノスちゃんにしましょうか」
「でもパルテノスだと、才能の『遠洗』が配下のベガと被っちゃうわね。変えておいた方が良いんじゃない?」
「そうですね……それでは、余っていた『青龍』の遺伝子を、えいっ」
「月人の才能は遺伝子抽出できないから、うっかり超レアな才能遺伝子を使わないように気をつけてね」
ありがとうパルテノス
「パルテノスちゃんのおかげで、総兵力が2000に増えました」
「さらに徴兵もして、と」
「すごい……初期配備では1200だった総兵力が」
「あっという間に2900。これだけあれば、十分に序盤から攻めていけるわね」
「せ、戦争ですか……うまくやれるでしょうか」
「戦術値にボーナス全部振ってるし攻城値も元からそこそこあるし、わりとなんとかなると思うわよ?」
「やれるだけはやってみますけど……」
いつものやつ
「というわけで、いつもの時報をはさみつつ」
「リシュさーん!」
「時は流れて神暦305年、紅彩国の子孫がはじめて元服したわ!」
「ぱちぱちぱちー」
「最初の一人には当然『双子』の才能遺伝子を融合! そして二人目は、もともと持っていた才能に『ある才能』を融合して、レア才能『源霊』を作成!」
「一人目には、今後の我が国の発展を願い、『いて座A*(エースター)』と命名」
(愚民とはいえ人に付ける名前じゃない気がする……)
「二人目には、豊穣の女神の名を冠した準惑星に因み、『ケレス』と命名しました」
「子孫武将の名前は星縛りでいくの?」
「星好きはわたくし紅彩神王の数少ない個性なので、このへんで活かしてみようかな、と……」
「あなた初代じゃ顔絵もなかったモブ神王だものね……」
あっ……
「そして翌年、子孫パワーで隣国のデフィス領ベルナに侵攻よ!」
「この時点でかなり順調に領土拡張ができていました。このターンでベルナを落とし、翌年にモンバルギでデフィス神王を破れば、アラナダ、陸奥の二つの領土もまるっと手に入りますね」
「同盟国の援軍は期待できないけど……まあなんとかなるでしょ!」
「あっ」
「あっ」
紅彩編その2に続く!
*1:プレイ開始時は9月19日でした
第14回:灯咲編その8~大要塞~
前回のあらすじ:最後の敵はデフィス
神暦344年
「神暦344年。灯咲国は全39の神国のうち、37国を占領。最後に残った神王、氷虎デフィスに対し、降伏勧告を行った。が、しかし」
「まさかの降伏拒否……」
「どうやら一度戦うしかないようだな」
「それじゃあまずは陸奥に侵攻するか……」
陸奥攻略戦
「ライネ、大変だ! デフィスがなぜ降伏勧告を突っぱねたのかわかったぞ! これを見ろ!」
「なに、ソウリュウ? 見ろって言ったって、ただの攻城戦じゃない。それも、敵武将は逃げ出したから城を攻め落とせばそれで終わりの簡単な――」
「全く簡単ではないぞ! 画面中央上の、城壁値をよく見てみろ!」
「城壁値60……ろくじゅう!? はぁ!?」
「凄まじい堅牢さだ……こちらは66000の兵を動員し、しかも平均攻城力31と非常に優秀だが、それでも今年中に落とせるかわからん」
「……この堅城があったから、デフィスも強気だったわけか」
「18ターンをかけて、味方の士気が尽きると同時、本当にギリギリのところで攻略に成功した! 『炎龍砕』の才能を持つ武将がいなければ、一年での攻略はまず不可能だっただろう」
「まさか最後にこんなものが待ってたなんてね……」
終結
「そして、翌年。頼みの綱だった要塞を失ったデフィスは、あっさりと降伏した」
「これで、ついに……」
「お前がこの世界の覇者だ、ライネ!」
「はー……やっと終わったのね。なんだか実感わかないわ……」
「苦節45年。雌伏の序盤、躍進の中盤、分断の終盤と、力押しに頼らない戦略ゲームらしい展開になったな!
まあ時間がかかった分、クリアスコアは少々控えめだろうが」
「たしかにね……ってちょっと待って! 推定やり直し回数1!?」
「ああ、それはだな。システムメニューからゲームの終了を選ばなかった場合にカウントされる数字だ。……ロード直後で何も操作していなかったとき、丁度電話がかかってきたプレイヤーがうっかり×ボタンで終了させたらしい」
「えー? ホントは狂ったようにリロードとかしてたんじゃないの?」
「『砂神の子孫繁栄があまりにも成功しないようなら、やっちゃうかもしれない』だそうだ」
双子パワー!
「次のこれは……才能遺伝子リスト?」
「その通りだ! 双子を大量生産して遺伝子抽出しまくったおかげで、2周目にして識別率43%に到達したぞ!」
「旧版をプレイしたときに融合進化の組み合わせを把握してるから、かなり効率よく進んだみたいね」
次回予告
「この調子で次のプレイでも識別率を伸ばしていきたいところだな! さて、どこの国でプレイするか……」
「うーん、こうして世界地図を眺めてみても、いまいちピンとくる国が――ああああっ!」
「うおっ、なんだライネ、どうした急に」
「わ、忘れてた……紅彩神王、うっかり封印した後かれこれ十年以上ほったらかしにしちゃってた! 開放しなきゃ!」
「しかしゲーム中には開放コマンドなど存在しないぞ」
「今はゲーム終了後!」
「それなら次回は紅彩神王を主人公とするか」
「そうと決まればさっさと行くわよソウリュウ! 待ってて紅彩神王!」
紅彩編に続く!
第13回:灯咲編その7~弱小国から世界帝国へ~
前回のあらすじ:砂神戦、はじまる
幸運の泉の精
「敵よりも良い装備を整え、敵よりも優位な陣形を保ち、敵よりも優秀な武将を揃え、敵の三倍の兵力を用意する」
「? ソウリュウ、何それ?」
「野戦必勝の極意、ってところだな」
「必勝って言うけど、相手が砂神の場合は?」
「最低条件、ってところだな。あとは運が良ければ――」
「――源霊ィィッ!!」
「うわっ、びっくりした!」
「見ろライネ! 源霊の神王、ヴァレムサークが持つレア才能『源霊』を持つ在野武将が仕官してきたぞ! これは運が向いてきている証拠だ!」
「それじゃあ風向きが変わる前に、ケリをつけるとしましょうか!」
分断戦略大成功!
「その後灯咲軍は、華限の戦い、伽羅の戦いでも砂神の軍勢を破り――」
「――神暦341年、ついに大陸の覇権を確固たるものとした!」
「振り返ってみると、最後まで決戦らしい決戦が無かったわね。アヴァリスも総兵力が五ケタを下回ることは無かったはずなんだけど……」
「戦略がうまく当たった証拠だ。数で勝る敵戦力に正面からぶつかるのではなく、分散させて少しずつ切り崩すことに成功したわけだな」
「あとは残敵掃討ね。クソ野郎二人に思い知らせてやる……!」
「前回のことまだ根に持ってるのかよ……」
ヴェイ・ルース、撃破
「ヴェイ・ルースもデフィスも、どちらも領土は2国だけ。35国を領有する私の敵じゃないわ!」
「単純な数だけでなく武将の質も、双子を活用した子孫繁栄を繰り返しただけあって圧倒しているな」
「ふふん、私の灯咲だもの。当然!」
「あっさり撃破だ!」
「予定通り! それで肝心のクソ野郎は……!」
「逃げられたな」
「ぐぬぬぬ……! こうなったらせめてデフィスの方だけでも、なんとしてでも!」
「なんとしてでも、身柄を抑えたいか?」
「当然!」
「なら……こういう手がある」
降伏勧告
「……降伏勧告?」
「そうだ。相手をこちらの従属国にする。永遠に顎でこき使ってやるわけだ!」
「へぇ……悪くないじゃない。それ、どうすればいいの?」
「相手との戦力差が重要だな。パワーを見せつけて従属を要求するわけだ」
「じゃあとりあえず経済力にモノを言わせて……と」
「領土2国、総兵力4040人の国相手に用意する軍じゃねぇな……」
「ま、でもこれだけあれば十分でしょ?」
「十分すぎるくらいだな」
「それじゃあ早速――」
「――は?」
(ガッツあるなぁ、デフィスの奴……)
灯咲編その8に続く!
第12回:灯咲編その6~ライネくん振り回される~
前回のあらすじ:砂神陣営崩壊!
ともだちになろうよ
「神暦336年、アヴァリス打倒のため、灯咲国は対アヴァリス戦線の構築に動き出した!」
「ところでソウリュウ。同盟交渉って何を持っていけばいいの?」
「ん? ああ、支配国数に見合った金品だな。今の灯咲の豊富な経済力からすればカスのようなものだ! 派手に金を贈って同盟を打診してみろ!」
「わかったわ。……ねえデフィス、提案なんだけど」
「……」
「……」
「同盟、断られたな」
「えぇ……なんで……?」
「まあ仕方ない、こういう時もあるさ。……あまり落ち込むな、ライネ」
「そ、そうね。相手はこのクソ野郎だけじゃないんだし、切り替えていかないと」
(クソ野郎……)
「次はリヴァスか……久しぶりねヴェイ・ルース。さっそく提案なんd」
「……」
「……」
「……お、おいライネ、あまり気にするな。こういうときもあ――」
「ああああ! あいつら絶対にぶっ潰してやるんだからーっ!!」
恋愛巧者……?
「――ん? いや待てライネ! これを見ろ!」
「……は?」
「同盟を締結したいそうだが……あ、デフィスのところからも来たぞ」
「…………はぁぁ!? なんなのこいつら!? さっきは断ったくせに!」
「リツキから聞いたことがある……愚民の間では、意中の相手に一度だけ冷たくすることで逆に自分を意識させるという恋愛テクニックがあると……!」
「国際関係でそんなことするなぁっ!!」
対アヴァリス戦線形成
「まあ、何はともあれ……」
「灯咲、リヴァス、アラナダの三国同盟締結! これで、砂神戦の準備は整った!」
「なんか釈然としないけど……あとはアヴァリスの軍と戦うだけね」
「いや、それは待った方が良い」
「え?」
「地図を見ろ」
砂神の倒し方
「ええと、現在アヴァリスの主力はモンバルギにいるのよね。だったらその隣の堯舜を制圧すれば、いい感じに領土を分断できるんじゃないの?」
「悪くない手だが、相手は砂神だ。モンバルギにいるアヴァリス本人が増援に駆け付けてきたら、容易には勝てん。ここは砂蛇を攻め、アヴァリスには華限を攻めさせる」
「華限を? ……そうか、敵の主力を分散させるのね」
「そうだ。ちなみにこれが翌年、アヴァリス軍を分散させた後の図だな」
「敵の戦線が伸び切ってる。今なら堯舜を攻めても、敵は最大で6人の武将しか戦えないってわけね」
「そうだ。……行くぞライネ! お待ちかねの対砂神戦だ!」
「相手はたったの三部隊、別動隊も用意できてない……それに対してこっちは援軍としてヴェイ・ルースのリヴァス軍も期待できるし、これなら勝てる!」
「あー、ライネ。その件なんだがな」
「? 何かあったの?」
「ヴェイ・ルースに援軍要請を出し忘れていた」
「プレイヤーのバカー!」
「まあ安心しろ。これでも勝てる」
「援軍要請忘れはヴァジアルサーガあるあるだけどね……何もこんなタイミングでやらなくても……」
「よりにもよって砂神戦だったからな。プレイヤーも正直ヤバいと思ったそうだ。……さて、次回はいよいよこの戦いにケリを付けるぞ!」
灯咲編その7に続く!
第11回:灯咲編その5~最強陣営崩壊す~
前回のあらすじ:四大国戦争、最初の脱落者はミル・フラート
神暦330年代
「神暦329年。ミル・フラートの軍勢を破ったライネ・灯咲は、勢いに乗じて砂神アヴァリスとの同盟を破棄。ギルス、龍戒への侵攻を以って、戦端を開く」
「奇襲を受けたアヴァリスは国境沿いに軍を配置。しかし覇帝ソウリュウとの戦いの最中であり、戦線は薄く広がらざるを得なかった……」
「というわけで、神暦330年。いよいよここからラスボス戦、砂神アヴァリスとの戦いだ!」
「地図の上ではほぼ互角の勢力分布に見えるけど……実際はけっこう差があるのよね」
「ライネ・ソウリュウ同盟はあわせて19国を領有。一方アヴァリスは18国を領有し、さらに従属国がふたつ。この点、わずかにアヴァリス側が優位であるものの、ほぼ互角と言っていいだろう」
「一方総兵力は私達が合わせても20000に届かないのに対して、アヴァリスは一国で33000を超えている……ちょっとまだ勝てる気がしないわね」
「陣形、装備の研究は灯咲の圧勝だが……これだけの兵力差と『砂神』の才能を覆せるだけの力は無い」
「でも兵の配置ならこっちに分があるわよ。もう一度地図を見て」
「確かにな。アヴァリス側の武将(茶色の領土の上にある赤い旗)は各地に分散配備されている……こちらの兵力を一点に集中すれば、局所的な数的優位を得ることが可能というわけだ!」
「それに、情報力で勝っているのは明確な優位点よね。相手の攻撃先に効率よく兵を配置してうまくいなしながら、なんとかアヴァリスの領土を削っていくことができれば、形勢は逆転する」
「……方針は決まったようだな」
「ええ。ソウリュウ、悪いけどあんたを囮に使わせてもらうわ」
さらばソウリュウ
「さて、神暦333年。灯咲国は大陸東部の駐留武将がいない、もしくはごく少数のアヴァリス領を狙って侵攻。複数国の奪取に成功した!」
「けれどそれは、アヴァリスの主力が存在する西部をほったらかしにしていた、ということでもあったわ。その結果ソウリュウは……」
「なんとか三年は逃げ回ったぞ……」
「もうちょっと粘ってほしかったんだけど」
「無茶言うな相手は兵力五桁の砂神だぞ! それに、これだけ時間が稼げれば十分だっただろう?」
「ええ、おかげで形勢は逆転したわ」
アヴァリス陣営、崩壊
「防御の手薄な領地を奪って回り、アヴァリスの国力を削った結果……神暦335年、アヴァリスの支配下にあったヴェイ・ルースとデフィスが相次いで離反! アヴァリス陣営は崩壊した!」
「この二国と同盟できれば……」
「ああ、対アヴァリス戦線の完成だ!」
「同盟が上手くいけば、アヴァリスに対して三か国連合軍で戦うことができるわね!」
「ああ。そうなれば砂神が相手でも互角以上の勝負ができるだろう!」
「見えてきたわ……勝利への道が……!」
灯咲編その6に続く!
第10回:灯咲編その4~かわいそうな紅彩くん~
前回のあらすじ:ライネ・灯咲、立つ
四大国時代、突入
「神暦323年、世界は四大国時代に突入した!」
「最大勢力は北方の覇者、アヴァリス。続いて南部、ミル・フラートのネミスと……」
「西部を押さえているのが、この覇帝ソウリュウ率いる龍戒国だ! なお、アヴァリス・ネミス連合軍と戦争中だぞ!」
「そして……私の灯咲は、その三国すべてと同盟中だった。けれどミル・フラートとの同盟を解き――」
「――神暦327年、ついに敵領土の分断に成功」
「一方俺様は順調にアヴァリスにボコボコにされているな。国力で劣っているうえに相手が砂神では無理もないが」
「むしろ意外としぶといくらいよね」
「フッ。『覇帝』の名は伊達ではないということだ!」
礼儒の戦い
「全軍を率いて、ミル・フラートに決戦を挑むわ」
「ここで勝てば王手だな。次のターンで勝負がつく。だが、こういう時に意外と手こずったりするものだ……油断は禁物だぞ、ライネ」
「当然」
「勝って当然の戦力差だが、籠城戦に持ち込まれると少し厳しい。野戦でできるだけ数を減らしておきたいところだな!」
「欲を言えば殲滅しておきたかったけど……」
「戦略目標は達成したと言っていいだろう。これでミル・フラートには逃げ場が無くなった。翌年でケリが付く」
ネミス、滅亡
「ケリがついたわ。……ちょっと危なかったけど」
「最後の籠城で意外と粘られたな。シャリの城の城壁がもう少し厚かったら、攻めきれないところだった」
「ともあれこれで私の勝利は……あら?」
「紅彩神王か。どうやらミル・フラートに敗れた後、奴の配下になっていたようだな」
「仕官してきたのか……うーん……」
「なんだライネ、何か思うところでもあるのか?」
「別にそんなことはないんだけど。ただ、ほら、今うちの国には優秀な子孫武将がたくさんいるでしょ?」
「わざわざ配下に加えることもない、ということか」
「そういうこと。だから、今回はご縁が無かったということで……」
「は? 紅彩神王、地下幽室に封印……?」
「え? ……ええっ!?」
「ライネお前……やっぱり紅彩神王のこと……」
「えっ、いや、ちがっ……私そんなつもりじゃ……ち、違うのよソウリュウ! 私はただ、臣下に加えるかって聞かれたから、ノーって答えただけで! 違うんだってば!」
「あー、うん、わかってるわかってる。わかってるぞライネ、わかってるとも」
「それ絶対わかってないじゃない!」
「なにはともあれ、これでミル・フラートは全ての領地を失い、ネミスは滅亡したわけだ。四大国時代も短かったな」
「うぅ……ごめん、ごめんね、紅彩神王……できるだけ差し入れに良いモノ持ってくから許して……」
「このゲーム、封印した神王を開放するコマンドは無いからなぁ……」
灯咲編その5に続く!
第9回:灯咲編その3~反逆のライネ~
前回のあらすじ:灯咲はぬくぬく内政中
たのしい内政タイム
「見ろライネ! 双子の力で子孫が増える増える! 武将リストが埋まる日も近いな!」
「兵力は仕官してきた浪人が連れてきた三十人しかいないけどね……」
「そこは気にするな。毎年の税収も上がってきているだろう?」
「ええ、国は確実に発展してきてる。収穫高はもう最高値よ」
「武将総出で領地開墾しまくっただけのことはあるな。しかも『断食』持ちの子孫が生まれたおかげで、毎年豊作だ!」
神暦318年
「あっという間に神暦318年……ずっと内政に専念し続けてきたおかげで、この国も豊かになったわ。もう誰にも弱小国とは呼ばせない……!」
「ああ、灯咲は相変わらず領国はひとつだけだが、情報、陣形、装備の三大研究分野においては、現状世界トップクラスだ。
金も溜まってきたし、はっきり言って現支配国であるギム・ザイファのトランベルよりは間違いなく強い。……ここらで勝負に出てみるか」
「でもどうせなら、陣形と装備は最大値(50)まで上げてしまってもいいんじゃない? 敵はギムだけじゃないんだし……」
「ところが国際情勢というものがある。現状、世界はアヴァリス、ミル・フラート、そしてこの俺、ソウリュウの三大国時代と言って良いのだが……これを見ろ」
「アヴァリスの外交状況? ……なるほど、西方の二大国と同盟を結んでるのね。それで、東に残ってる小国を吸収しに来てるのか……」
「そして灯咲も、その『東方の小国』のひとつだ。つまりこのままいけば、十中八九灯咲はアヴァリスに蹂躙される。故に、ここで動く。と言っても、とれる手段は限られるがな」
「ええ。従属国に外交権はないわ」
「そうだ、それが問題だ。この問題を解決するにはどうする?」
「……速やかに独立して、大国との同盟を結ぶ。トランベルに絶縁状を送る日が来たみたいね」
「わかってるじゃないか、ライネ」
ライネ立つ
「ギム・ザイファ殿。貴国が『守護税』の名目で我が国より搾取してきた金……なにも今すぐすべて返せとは言わないわ。そのかわり――」
「――国を、頂きます」
「これで灯咲も4国を領有する中規模国家だな!」
「とはいえまわりは大国ばかり……今は同盟できてるけど、油断すると即死よ即死。ソウリュウ、何か策はないの?」
「アヴァリスとの戦争は絶対に避けろ。ミル・フラートの軍や俺様の軍はまだしも、奴には勝てん。今は機を待ち、勢力伸長のタイミングを逃すな」
四大国時代
「ソウリュウ。たった今、アヴァリスがソウリュウとの同盟を解消したそうよ。……なんだかややこしいわね、これ」
「チッ……癪だが大軍を抱えた砂神が相手では、いかに俺様の龍戒軍といえど敵わんだろうな」
「ねえ、もしかしてだけど、あんたのところが滅んだら、次に狙われるのは……」
「お前か、ミル・フラートか……いずれにせよ、そうなればアヴァリスには勝てん。今のうちにミル・フラートを叩くしかないな」
「……ミルとの同盟を解消するわ」
「これで四つ巴の戦争だな! 次回からはいよいよ本格的な戦争だ!」
灯咲編その4に続く!
第8回:灯咲編その2~双子最高~
前回のあらすじ:灯咲は弱小従属国だった
今回の主目的
「子孫繁栄! 子孫繁栄!」
「ちょっとテンション高すぎて気持ち悪いんだけど……」
「何を言うライネ! ついに『双子』の才能がその力を見せるときがやってきたのだ! これでテンションの上がらない神王はいない!」
「いや正直その……ちょっと引く感じなんだけど……」
「早速組み合わせを確認だ!」
「あっ、見てソウリュウ! けっこう良い感じの能力よ!」
「微妙だ……」
「は?」
「我が龍戒基準で考えるとどうもなぁ……たしかに悪くはないんだが……この能力に賭けて成功率70%は……いや……ううむ……」
「ほいっと」
「あ、おいライネ!」
「灯咲国は人材不足が深刻なの! 高確率で数を増やせるほうを取るわ!」
「むぅ……仕方ないか」
「見て、ソウリュウ! 子孫が二人生まれてる! 双子よ!」
「これが双子の才能の効果だ! 誕生する子孫が『必ず』双子になるぞ!」
「冷静に考えると凄い能力よね……」
嵐を呼ぶオッサン、来る
「そんなこんなで、神暦305年」
「もう五年も経ったの?」
「隣国のギムとシュンケイが無駄に一進一退の攻防を続けてちっとも情勢が動かなかったのだ……が、しかし」
「なんか知らないオッサンが来たわね」
「一応同僚(神王)だぞ……まあ俺もあまりこいつは印象に残っていないんだが……」
「こいつの『王信』ってどんな才能なの?」
「従属国が離反しにくくなる」
「うちじゃ無意味じゃないの!」
「しかしこのオッサンの登場をきっかけに……」
「あっ、ギムが勝った」
「これでついに灯咲国は、国境すべてをギム・ザイファのトランベルに囲まれたわけだ。これからは外敵に攻め込まれる心配もなく、内政に専念できるぞ! もちろん内政だけではなく……」
「子孫繁栄も、でしょ?」
「その通りだ! 双子の才能で武将をガンガン増やしまくり、戦力が揃ったところでギム・ザイファの領土を後ろから奪い取る! それが灯咲プレイの基本戦略だ!」
「なるほど……つまりここからが本番ってわけね」
「その通りだ。力を蓄え、蓄えた後は素早く勝負を決めに行く!」
「ま、強いて問題をあげるとすれば――」
「――今のうちの兵力が、スッカラカンってことよねぇ……」
灯咲編その3に続く!
第7回:灯咲編その1~従属国の悲哀~
キャラクター紹介
ライネくん
ソウリュウくん
龍戒から灯咲へ
「お久しぶりですね、ソウリュウ殿。今回はいったいどのようなご用向きで――」
「あー、堅苦しいのはよそうぜ、ライネ。今回はあくまで私的な訪問だからな」
「――あ、そう。それなら……いや、ちょっと待って。私的な訪問? 正直、その方が困るんだけど……なに、今回はいったいどんな厄介ごとなわけ?」
「いや、簡単な話だ。双子の才能遺伝子が欲しい」
「は?」
灯咲ってこんな国
「灯咲。ギム・ザイファ率いるトランベルに保護され、従属している大陸南東部の小国……その最大の特徴は、配下に『双子』持ちがいることだ!」
「もっとマシな特徴がいくらでもあると思うんだけど」
「ふむ……そうだな。強いて言うならば、国土は貧しく、人材に乏しく、神王の才能もゲーム開始時点では全くの役立たず……」
「喧嘩売ってる?」
「しかし、それを補って余りある魅力が『双子』の才能にはあるのだ!」
「そんなに良いものとは思えないんだけど。単騎戦闘力補正もゼロだし」
「いやいや、才能遺伝子を集めたいプレイヤーにとって、双子の才能は本ッッッ当に重要なのだ。今回はなんとしても、お前の配下の来咲に双子を量産してもらうぞ!」
たのしい初期設定
「それじゃあ始めていくけど……能力値はやっぱり戦術全振りよね」
「ああ、そして今回は2週目だから、前回配下にした戦闘タイプの月人を一人、初期配備に追加可能だ!」
「誰にするのがいいの?」
「最強はアクエリアスで間違いないが、前回登場していないから、今回は選べない。ここはレオンを選んでおくといい」
「えっ、この子600も兵を連れてる! すごい! 総兵力が一気に倍近くになったわ!」
「お前のところは元が少なすぎるんだよ……」
従属国はつらいよ
「それじゃあ、さっそくはじめていきましょうか」
「まずは最初に……おっと、イベントフェイズで守護税の徴収か」
「はたらけど はたらけど猶 わが神国 楽にならざり ぢっと手を見る」
「こうして見ると小国は大変だな。俺は支配する側だったから気にしたこともなかったが」
「くぅぅっ……! いまに見てなさいよ……!」
「さて、次は内政だが、こちらは特に従属国でも制限はない。問題は外交だな」
「何もできないのよね。そのうえ……」
「おいライネ、ギムのところから使者が来たぞ」
「はぁ……今年の軍役も辛いわ……」
「まあそう落ち込むこともないだろう。勝利すれば、戦利金も分配されるんだ」
「仕方ないか……気は進まないけど準備しなくちゃ……」
時報
「俺様が神暦300年をお知らせするぜ!」
「ギムの奴も希泉を占領したか……おっ、良かったなライネ。金165くれるってよ」
「悔しいけど小国にはありがたいのよね……うう、情けない……」
「さてと、今回はこのへんにしとくか。次回はいよいよお待ちかね、子孫繁栄の時間だ!」
灯咲編その2に続く!
第6回:龍戒編その6~ソウリュウくん大勝利!希望の未来へレディ・ゴーッ!~
前回のあらすじ:大☆勝☆利
さらば、ギム・ザイファ
「神暦319年、我が軍は堯舜を占領しました」
「そして神暦320年。迦沼、ギルス、砂蛇を占領。我が軍は分断された敵を殲滅し、結果……」
「領土が増えたよ!」
「やったねリツキくん!」
「というわけで、こちらが神暦321年の勢力図です」
「圧倒的じゃないか我が国は!」
「そうですね。もうほとんど勝ったも同然です」
「ここまでくると、勝つか負けるかよりも『どう勝つか』の戦いになってくるな」
「残りは対ギム・ザイファ戦で共に戦った想武様と、どさくさに紛れて領土を増やしたライネ様ですか。……複数拠点に同時侵攻して、さっさと終わらせますか?」
「いや、ここは堅実に行くぞ。まずは想武から潰す」
やべーやつが来た!
「ソウリュウ様、なんかやたらと有能な武将が仕官してきましたが……」
「げぇっ! 魔鏡! リヴァスの神王ヴェイ・ルースが持ってるレア才能じゃねぇか! ……あー、もうそんな時期なんだな」
「時期、というと?」
「終盤になってくると、さも『さっさとクリアしろ』と言わんばかりに強力な在野武将が出てくるんだよ。……まあ、敵国に仕官してる場合もあるがな」
「登用しますか?」
「ああ。魔鏡は強い。特に終盤はな。あとはちょいと兵力再編するぞ」
「子孫武将は侵攻用として兵数1000程度に、月人武将は防衛用として最大まで兵数を盛りました」
「それでいい。侵攻時には出兵費がかかるし、兵数が相手よりも多すぎると、野戦時に『奇襲』を受ける危険性が出てくるからな。
他国に攻め込む武将は兵数を抑えて、逆に籠城戦を行う武将は、できるだけ兵数を増やしておくぞ」
想武攻略
「フッ。この覇帝ソウリュウ相手に良く戦ったと褒めてやろう。地下の幽室で永遠の余生を楽しむがいいハーッハッハッハ!」
「あの、ソウリュウ様。楽しそうなところ申し訳ないのですが……」
「あ? 何だリツキ」
「想武様、逃げられちゃいました」
「……」
ライネ攻略
「フッ。最後まで生き残った褒美に、次回のプレイヤー国家にしてやろう。だが今回は地下の幽室で永遠の余生を楽しむがいいハーッハッハッハ!」
「あの、ソウリュウ様……」
「おい待てやめろリツキ」
「あああああ!!」
「えーと、というわけで……神暦328年」
龍戒の神王・覇帝ソウリュウ 全神国を統一す
「なんだか最後の最後に不完全燃焼な感はあるが………ついに完全制覇だ!」
「終わってみればごく普通のプレイでしたね」
「一番真っ当なヴァジアルサーガの楽しみ方ができたな!」
次回予告
「それで次回は……ライネ様の灯咲国でプレイするんですか?」
「ああ。実を言うと、今回のプレイでは最重要才能である『双子』を回収できなかったからな。初期配置で双子持ちがいるライネでプレイする」
「ということはソウリュウ様とは今回でお別れですか……次回からは私とライネ様で頑張りますね」
「いやお前がライネと交代らしいぞ」
「は? ソウリュウ様がリストラじゃないんですか?」
「あ? んなわきゃねぇだろ」
「外伝ボイスドラマで私に負けたソウリュウ様がリストラじゃないんですか?」
「……」
「……」
「言いやがったなリツキ! 上等だかかってこいや!」
「第二次神暦大戦開幕ですよソウリュウ様!」
灯咲編に続く!